ぐずぐずエブリデイ

日記です。

喉から太鼓のレア音

たっぷりのバターがぶくぶくとあぶくをたて、にんにくとハーモニーを極めてきたところでお肉を投入、両面を数十秒ずつ焼いて焦げ目をつけたらローズマリーをぶちこんで中に火を通します。私は生肉が好きです。お祝いごとのために、その日はレアレアのレアでステーキを焼きました。ワインをぶぁっとかけてあとはボウボウさせて終了です。

 

食卓に並んだ好きなものの数々、あぁ、なんて素敵な日でしょう。てらてら光るはまちも、新鮮そのものシャキシャキ新たまねぎも、朝から焼いておいたプリンケーキやミルクレープもいい具合でした。たっぷり時間をかけて作った豚の角煮も最高の最高でした。

 

ステーキにナイフをいれ、さあ一口。バターを使えば何でも美味しくなるというのはあながち間違いではありませんね。今回はバターをドチクショウのごとく使ったので大成功でした。ぷりぷりの牛肉が美味しくて美味しくてぱくりぱくり、ぱくぱくり、ほっぺた100度落ちしたところで「カッ!!!!!!!!!!!」「カァッ!!!!!!!!」「ヒュゴッ!!!!」喉に詰めました。

 

押しても引いてもだめとはまさにこのこと、すっぽりと喉にはまったレアレアのレアは私を殺しにきていました。わたし、じつは喉の大きさには自信があります。大きさというのは間違いでしょうか、なんというか、少々の大きいものはなんでも飲み込めます。いえ、飲み込めると思っていたのです。

 

楽しく弾んでいた会話は一転。「大丈夫!?」「どうしたの!」と心配の声があがります。いつだったかうちの犬がご飯を食べている最中に「カァッ!」と音を立てていたことがありました。あれは喉に詰めていたのですね。そしてこのような苦しみだったのでしょう。死が頭をよぎるほどの苦しみ、冷や汗がこめかみにぷくぷくと湧いているような、そんなとき「ゴッ」と音をたててレアレアのレアが食道をもったりと流れていきました。流れる間もそれはそれは苦しく、太鼓を飲み込んだのかと思ったほどです。

 

なんと浅ましい、お祝いごとだからと焼いたレアレアのレアは私を獣にしました。とても美味しかったので咀嚼を忘れていたのでしょうか、早く、そしてなるたけ多くを頬張りたくてとても大きく切っていたのでしょうか。「大丈夫…?ステーキのどに詰まったの?」心配する顔をよそにステーキを眺め、今度からはレアにしようと反省しました。